結腸左半切除術におけるSimulation CT Colonographyを用いた最適な腸管切離・血流温存

2017 
結腸左半切除術は下行結腸癌の標準術式であるが,横行結腸左側からS 状結腸までの広範囲切除となる。さらに近年腹腔鏡手術が普及しているが,視野が限られ術中に適切な切除範囲を決定するのは困難である。CT colonography(CTC)と血管3Dを合成したsimulation CTC(S-CTC)は,原発巣の位置,支配血管を明確に同定できる。様々な部位・進行度の下行結腸癌に対してS-CTC で適切な切離大腸・血管処理をsimulationし,simulationどおり腹腔鏡手術を行えた下行結腸癌3症例を提示する。症例1:脾曲,cT1bN0M0,StageⅠ。S-CTCにて支配動脈は副中結腸動脈(A-MCA),下腸間膜静脈(IMV)より分岐する伴走静脈も同定。中結腸動脈左枝や左結腸動脈(LCA)は10 cm 以上離れていた。郭清はD2相当とし,静脈は分岐部根部,A-MCAは同レベルの切離をsimulationした。症例2: 下行結腸中央,cT3N0M0,StageⅡ。S-CTCにて支配動脈のA-MCAとLCAを同定。切離腸管は支配動脈より5 cm とり,S 状結腸温存のため下腸間膜動脈(IMA)を温存したD3郭清をsimulationした。症例3: S 状結腸近傍,cT3N0M0,StageⅡ。S-CTCにて支配動脈は第一S 状結腸動脈(S1),LCAは欠損,A-MCA は10 cm 以上離れ,IMV は欠損していた。S 状結腸温存のためIMA 温存D3 郭清とし,S1 選択的切除をsimulationした。3 症例ともsimulationどおりの術式を腹腔鏡で行えた。S-CTCは,腹腔鏡下下行結腸癌手術における最適な腸管・血流温存に有用であると思われた。
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