下大静脈閉塞を伴うBudd-Chiari症候群を併発し,肝性脳症にて死亡したsystemic lupus erythematosusの1剖検例

1986 
Systemic lupus erythematosus (SLE)の患者に,静脈血栓が合併しやすいことは,古くからよく知られているが,今回,我々は, SLEの経過中に,肝静脈主幹および下大静脈に広範に血栓を形成し,典型的なBudd-Chiari症候群の病像を呈し, 2年後,肝性脳症に至つた症例を経験した.症例は, 17才,女性. 12才でSLEを発症し,以後ステロイド療法を受けていたが, 15才時急速に腹水,下腿浮腫が出現し,下大静脈の閉塞を伴うBudd-Chiari症候群と診断された.約2年後,急速に肝性脳症に到り死亡した. SLEの凝固亢進状態については,種々の要因が考えられているが,本症例における血栓形成にcirculating anticoagulantの存在が強く疑われた.
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