2 慢性膵炎の発症機序―腺房細胞と導管細胞の視点から

2006 
膵液は,高濃度の重炭酸イオン(HCO3-)を含む等張液に消化酵素を混じたものである。消化酵素は膵臓の約 90%を占める腺房細胞から,HCO3-と水は消化酵素を十二指腸へ運ぶ膵管系の上皮細胞(導管細胞)から分泌される。慢性膵炎は,進行性に実質の破壊が進み消化吸収不良と糖尿病を引き起こす病気であるが,発症と進展の機序はいまだ明らかにされていない。発症機序のおもな仮説は,necrosis-fibrosis sequenceと small-duct theory であり,前者は腺房細胞の障害,後者は導管細胞の機能異常と関連する。アルコールの多飲が慢性膵炎のもっとも頻度の高い成因であることから,エタノールが腺房細胞,導管細胞に与える影響が検討されている。
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