腹部大動脈瘤破裂で発症し, 多様な大動脈病変を呈した Marfan 症候群の一例

1994 
腹部大動脈瘤破裂で発症した27歳 Marfan 症候群の女性に対し, 緊急に人工血管置換術を行い救命できた. 術後精査にて, 大動脈弁輪拡張症と下行大動脈起始部の嚢状動脈瘤が明らかとなったため, Cabrol 手術と弓部および近位下行大動脈置換術を施行した. しかしながら, グラフト遠位端の出血のコントロールができず, ここを結紮し, 上行大動脈から両側大腿動脈に extra-anatomical bypass を置くこととなった. さらに術後LOSのため, 止むをえず, この extra-anatomical bypass 内で balloon pumping を行った. その後は心機能も回復し, 感染も起こさず順調に経過することができた. 腹部大動脈瘤破裂で発症した Marfan 症候群は比較的まれであり, intra-graft balloon pumping を施行することにより術後LOSを脱したこととともに報告する.
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