慢性疼痛のメカニズムにおいて,心と体の間で何が起きているのか―心身医療の観点から

2017 
慢性疼痛の心身医療の現場では,心と体の強い結びつきが観察される.心は体で体現され,体の変化をもとに人は感情に気づくことができる.幼少期にありのままの自分を表現できないような苦しい生活環境におかれた人は感情抑圧が起こり,失感情症という心理特性が身についてしまう.同時に,周囲の対立を過度に恐れて過緊張のなか,体感が鈍くなる失体感症という状態が形成される.慢性疼痛の心身医療では自律神経機能の変化に伴い,目の奥の痛み,鼻汁が起こったり過去の不快な情動体験を想起しての嘔気(むかつき)が起こったりする.本稿では,転換反応・解離現象・自傷行為など,慢性疼痛難治例の治療経過における臨床的な現象をどう理解するかについて概説し,不快情動に対する耐性を高めるアプローチの有用性を示す.
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