Neoadjuvant Chemoradiation Therapy(NACRT)にて病理学的完全奏効が得られた膵頭部癌の1 切除例

2015 
症例は64 歳,女性。心窩部痛を主訴に近医受診後,腹部CT にて膵頭部に35 mm大の乏血性腫瘍を認め,また近傍の上腸間膜静脈(SMV)閉塞を認めたことから当院紹介となった。膵癌,SMV血栓症もしくは腫瘍栓の診断にて術前化学放射線療法(neoadjuvant chemoradiation therapy: NACRT)と抗凝固療法を行う方針とし,S-1療法+RT 50.4 Gy/28 Frを施行した。NACRT 後の腹部CT では腫瘍は10 mm 大に縮小し,SMV 閉塞は残存するも縮小しており血栓症と判断した。膵頭十二指腸切除術,D2 リンパ節郭清術を施行した。術後病理診断では腫瘍細胞は認められず,線維化を認めるのみであった。NACRT 後の治療効果はEvans分類のgradeⅣ,病理学的完全奏効(pathological complete response: pCR)の判定となり,現在術後10か月無再発生存中である。
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