正常ラットにおける再生肝,肝組織血流量ならびに肝微細構造におよぼすTJN-101((+)-(6s,7s,R-biar)-5,6,7,8-tetrahydro-1,2,3,12-tetramethoxy-6,7-dimethyl-10,11-methylenedioxy-6-dibenzo[a,c]cyclooctenol)の作用

1986 
正常ラットにおける肝部分切除による再生肝,肝組織血流量ならびに肝微細構造におよぼすTJN-101((+)-(6s,7s,R-biar)-5,6,7,8-tetrahydro-1,2,3,12-tetramethoxy-6,7-dimethyl-10,11-methylene-dioxy-6-dibenzo[a,c]cyclooctenol)の作用について検討した.1)TJN-101は肝部分切除後4日間の経口投与(10,30および100mg/kg/day)により肝再生率を上昇させるとともに,低下したBSP排泄能を改善した.これらの変化は用量依存的であり,100mg/kg/day投与群では擬手術群のレベルにまで回復していた.この際,TJN-101投与による血中生化学的指標の著明な変化として,肝切除により低下する総蛋白量の改善,LCAT活性の上昇,インスリンレベルの低下およびグルカゴンレベルの増加などが用量に依存して認められた.一方,肝細胞核分裂に対する変化は術後5日目ではほとんど認められなかった.2)TJN-101は30および100mg/kgの十二指腸内投与により肝組織血流量を増加させた.3)TJN-101(30,100および300mg/kg/day)4日間経口投与後の肝微細構造を電子顕微鏡にて検討したところ,特徴的な変化として100および300mg/kg/day投与群で粗面小胞体ならびに滑面小胞体の増加が認められた.以上の結果から,TJN-101は再生肝の肝細胞増殖ならびに肝機能の回復を促進させるとともに,肝内血流循環動態を亢進させる作用を有するものと推測された.また,TJN-101を反復投与した際にみられる肝重量増加は微細構造的には小胞体の発達を伴うものと考えられた.
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