"Acupuncture Treatment on the Local Area versus the Distal Area"-Physical Conditions II-Definition of the Local and Distal Area Treatment

2004 
本シンポは前回筑波大会に継続して行われたものである。前大会では遠隔部治療にスポットを当て、その実際と根拠を示して、遠隔部治療の有効性を明確にすることを目的とした。3人のシンポジストと1人の指定発言者は、遠隔部治療の有効性を臨床及び基礎の面から示したが、他の1人は局所の優位性を述べ、遠隔部治療の有効性を認めなかった。このため今回のシンポでは、局所治療及び遠隔部治療の定義などを明確にすることが必要と考え、前もって長年学会に在籍している会員を対象にアンケート調査を行い、それぞれの定義とイメージしている治効機序の分析、及び治療において使い分けをしているかどうかなどを調査した。調査結果について、小川氏は遠隔と局所の定義においては学派による違いはあまり無く、局所とは圧痛部位、ひびく部位、障害部位を示し、遠隔部とは経絡・神経・反応点・圧痛点・全身反応を惹起する等の何らかの意味ある部位というようにイメージされていると報告した。篠原氏は、3armのRandomized Controlled Trialの結果を通じて経筋治療における遠隔部治療の優位性を示した。更に遅発性筋痛を経筋病モデルとして設定し、皮内刺鍼の効果を検討し、上腕二頭筋への運動負荷によって、肺経上の圧痛閾値の低下が観察されたとし、遅発性筋痛出現時に末梢に選択的に出現した反応点が治療穴として使用できる可能性があると述べた。指定発言者の森山氏は、ある遠隔部の不調が局所に影響する可能性についてバイオメカニクスによって説明し、障害発生原因となり得る自覚しづらい不調を臨床で見つける.有用な方法のーつとして経絡テストを紹介し、診察・治療の際は局所を診る “ミクロ” と全身を診る “マクロ” の目が必要であり、それらをセパレ-トするのではなく、それら“両方の目”によって行われるのが本質的な治療のあるべき姿ではなかろうか、と述べた。また、同様に指定発言の白石氏は、昨年の報告を更に発展させた遠道刺の実験結果から「委中-承山・飛陽・毘喬・陽陵泉」刺激による体幹部「腎愈」の応答性は, 腰痛患者において多様に変化することと経絡・経穴特性などを確認し、遠隔部治療の有効性を発言した。同じく指定発言の尾崎氏は人と動物実験の成果から、「近隣または遠隔に与えた鍼は、運動反射を抑制する。この視点からは近隣も遠隔も効果がある」、「近隣または遠隔に与えた刺激情報は、同一ニュ-ロンに収束し、修飾が起きる。この視点からは、ニューロンレベルでの情報処理の仕方の違いが効果発現の違いに大きく関与すると考える」及び「局所治療と遠隔治療の差異の検討は、今後刺激部位以外に入力の仕方の差異、証の差異などを含めた総合的な議論が必要と考える」と発言した。フロアからは、神経や筋への刺鍼の鎮痛メカニズムが理解できない、局所も遠隔と同じメカニズムではないかという質問が出て討論となり今後の課題となった。
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