N-(長鎖アルキル)ビピリジニウム塩-フタロシアニン錯体LB膜の形成とその構造

1987 
高配向性のフタロシアニンLB膜を作成するために,フタロシアニン-リガンド錯体を用いた。[{N-docosyl-4,4'-bipyridinium(1+)-N'}(pyridine)(phthalocyaninato)iron(II)]bromideは気-水界面で単分子膜を形成し,基板上にZ型のLB膜として累積されたのに対し,長鎖のアルキル基を有さないbis(pyridinb)(phthaladyaninato)iron(II)ではLB膜が得られなかった。極限占有面積,X線回折および偏光赤外分光の測定結果からは,フタロシアニン環は基板に対して約35度傾き,たがいに重なり合うようにして配向していることが明らかとなった。電気伝導度を測定したところ,膜面内方向で10-7±2S/cm,膜法線方向で10-12S/cm以下となり,大きな異方性をもっていることが明らかとなった。膜面内方向の電気伝導度は鉄フタロシアニンよりも高く,一次元のフタロシアニンーリガンドポリマーと同程度となったが,これはLB法によりフタロシアニン環の重なり合いを制御することによって導電性が増夫するような軌道の重なりが生じたことによるものと考えられた。
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