7 適正使用・抗菌薬編(1):カルバペネム系抗菌薬の適正使用

2009 
わが国の多くの病院では近年,最も広域の抗菌スペクトラムを有する強力な優れた抗菌薬であるカルバペネム系抗菌薬(以下,カルバペネム)が多用されるようになりました.近年,カルバペネム耐性緑膿菌が出現し,さらに多剤耐性緑膿菌による病院感染が増加して問題になっています.わが国には,カルバペネム耐性緑膿菌が緑膿菌の60%以上を占める病院や,多剤耐性緑膿菌が緑膿菌の9%を占めるという深刻な状況にある大学病院もあります. 多剤耐性緑膿菌は,治療薬がきわめて少ないかまったく存在しないために,感染症診療と病院感染対策において非常に重要な問題になっています. 多剤耐性緑膿菌出現の危険因子としては,Caoらによると多剤耐性緑膿菌検出者は薬剤感受性緑膿菌検出者と比較して,カルバペネム前投与歴がオッズ比44.8 で最も高い危険因子であり,カルバペネムの多用は多剤耐性緑膿菌の出現を助長する因子であると報告されています1).抗菌薬,特にカルバペネムの適正使用を行い,このような耐性菌を生じさせないように対策を立てることが重要課題です.
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