新規アルツハイマー型認知症治療剤リバスチグミンパッチ(リバスタッチ®パッチ/イクセロン®パッチ)の薬理学的特性および臨床試験成績
2012
リバスチグミンパッチはフェニルカルバメート系の化合物であるリバスチグミンを有効成分とし,アルツハイマー型認知症(以下,AD)治療薬では本邦において初めての経皮吸収型製剤である.本剤は「軽度および中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」を効能・効果として2011年7月より販売が開始された.リバスチグミンはアセチルコリンエステラーゼおよびブチリルコリンエステラーゼに対し可逆的かつ強力な阻害作用を有し,脳内のアセチルコリン量を増加させる.非臨床試験において,アルツハイマー病動物モデルにおける学習記憶障害を改善した.国内後期第II相/第III相試験では,軽度および中等度(MMSE 10~20)のAD患者を対象とし,リバスチグミンパッチ(9 mg,18 mg)の有効性,安全性および忍容性を24週間投与,無作為割付,プラセボ対照,二重盲検並行群間比較試験により検討した.その結果,主要評価項目であるADAS-J cog(認知機能評価)では18 mg群においてプラセボ群との間に有意な差がみられた.一方,もう1つの主要評価項目であるCIBIC plus-J(全般臨床評価)では,プラセボ群との間に有意な差はみられなかった.副次評価項目では,日常生活動作(ADL)を評価するDADや介護者が患者の印象を評価する改訂クリクトン尺度において18 mg群とプラセボ群との間に有意な差がみられた.安全性評価では大きな問題はなく,忍容性は良好であった.パッチ剤は上記の有効性に加えて服薬コンプライアンスおよび利便性の向上をもたらす可能性があり,本剤がAD治療の選択肢を広げるものと期待される.
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