胎児期・幼少期の環境因子が子どもの神経発達に与える影響─浜松母と子の出生コホート(HBC Study)からの知見

2020 
環境化学物質や親の年齢,早産といった内的要因を含む環境因子が神経発達に与える影響は,胎児期から幼少期にかけてとくに重大である.一方,この時期の神経発達における何らかの異常は,自閉スペクトラム症(ASD)に代表される神経発達症群(neurodevelopmental disorders)の発症に関連づけられている.筆者らは,浜松母と子の出生コホート(HBC Study)を運営し,一般集団における乳幼児期から小児期の神経発達軌跡の把握や神経発達症群の生物学的・心理・社会学的決定因の多面的探索をめざしてきた.その結果,一般集団における2 歳までの神経発達軌跡が5 つのクラスに分類可能であり,なかでも神経発達の遅れがみられる2 つのクラスには早産や父親の高年齢,small-for-gestational age(SGA)の関連が示された.また,母親の産後うつ(分娩後1~3 カ月)が,1 歳6 カ月以降の子どもの表出言語に遅れをもたらすことが見出された.これらの知見は,子どもの神経発達への予防的介入の可能性を考えるうえでも重要である.
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