Immunohistochemical study of expression of P-glycoprotein in hepatocellular carcinoma.

1993 
肝細胞癌切除例15例におけるP-glycoproteinの発現をモノクローナル抗体C219を用いて免疫組織化学的に検討した.P-glycoproteinの局在は,正常肝細胞は毛細胆管側細胞膜,索状型肝細胞癌では細胞間腔,偽腺管型肝細胞癌では腺管内腔側細胞膜に発現しており,正常肝細胞との類似性を示していたが,充実型ではその発現は著しく低下していた.P-glycoproteinの組織内発現率はP-glycoprotein labeling index (P.L.I.)として表した.P.L.I.の組織学的構造別検討では正常肝細胞0.81±0.11 (M±SD),硬変肝細胞0.79±0.15,で発現率に差異は無く,索状型肝細胞癌0.47±0.14,偽腺管型肝細胞癌0.44±0.10,も同様の発現率であったが,正常および硬変肝細胞よりは有意に発現率が低下していた.また,充実型肝細胞癌では0.04±0.05と発現低下を示していた.P.L.I.を組織学的分化度別に検討すると,非癌肝細胞0.80±0.12,中分化型肝細胞癌0.46±0.13,低分化型肝細胞癌0.04±0.05と,分化度の低下にともなって,P-glycoproteinの発現率の低下が認められた.すなわち,正常肝細胞に発現しているP-glycoproteinは組織構造の違い,組織学的分化度の低下に伴って発現率が低下していた.以上より,肝細胞癌に対する癌化学療法を行う際には,P-glycoproteinを介した薬剤耐性機構の関与する可能性のあること,さらに,症例により,P-glycoproteinの発現に差異が見られることに注意すべきと思われた.
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