Anatomical Studies of the Proprioceptive Organs in the Stomatognathic System

1975 
顎運動の神経筋調節機構の解剖学的背景を解明するために, 顎筋の層分化と筋紡錘分布の関係についての比較解剖学的な研究が食虫類のトガリネズミ科のトガリネズミとジネズミおよびモグラ科のヒメヒミズモグラ, ヒミズモグラとアズマモグラで行われた。顎筋の層分化と筋紡錘分布はヘマトキシリンとエオジンで染色された前頭断と水平断の連続セロイジン切片で精査された。顎筋は開口筋と閉口筋とに分類される。モグラ科では, 外側翼突筋, 顎二腹筋前腹と顎舌骨筋が開口筋として, また, 側頭筋, 内側翼突筋と咬筋が閉口筋として分類される。閉口筋では, 側頭筋はさらに水平部の内層と外層, 中間部, 垂直部の内層と外層に, 内側翼突筋は内側部と外側部に, 咬筋は浅層部 (第1層, 第2層, 第3層) と灘部 (第1層, 第2層, 第3層) に層分化をしている.トガリネズミ科では, 顎筋の層分化は咬筋が深層部の層分化を欠く点を除けば, モグラ科での顎筋とよく似ている。閉口筋は多数の筋紡錘を含むが開口筋はこれを欠いている。トガリネズミ科では, 筋紡錘は側頭筋の水平部内層と外層, 垂直部内層および咬筋の浅層鱗2層に分布する。モグラ科では, 筋紡錘は側頭筋の水平部の内層と外層, 垂直部内層, 内側翼突筋の内側部および咬筋の深層部第1層に分布する。1側の顎筋に分布する筋紡錘数はトガリネズミで55.5個, ジネズミで82個, ヒメヒミズモグラで92.0個, ヒミズモグラで117.0個, アズマモグラで162.6個である。側頭筋は他の筋よりも多くの筋紡錘を含み, トガリネズミ科では顎筋の筋紡錘総数の90~88%に当たる筋紡錘が, モグラ科では70~63%に当たる筋紡錘が側頭筋に集中分布した。この顎筋の筋紡錘分布の様式から, 側頭筋の水平部と垂直部は顎運動の制御機構上とくに重要な役割を演じていることが推測される。
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