側頭動脈炎の1症例:臨床,組織学的,蛍光抗体法による検索

1980 
側頭動脈炎は本邦では比較的希な疾患で,その成因については免疫学的機序が関与しているといわれているが,症例報告も少なく充分判明していない.今回,筆者らは臨床像と側頭動脈生検像より本症と診断しえた症例について検索し,特に蛍光抗体法により,病変血管壁にimmunoglobulinsやcomplement factorsの存在を証明し得たので報告する.症例は67才,男性で,発熱両側頭部痛,左鼻側半盲で来院し,検査にて血沈値の著明な亢進, CRP強陽性,血清α2, γ-globulin値やfibrinogen値の増加等を示し,側頭動脈生検像で,典型的なgiant-cell arteritisの像を呈した.この病変動脈壁の蛍光抗体法による検索で,抗IgGが“cytoplasmic pattern”として,また他のimmunoglobulinsやcomplement factorsに対する抗体は“linear pattern”として観察された.治療は高度の病変動脈摘出後に副腎皮質ホルモン薬(プレドニゾロン40mg/日)の投与で,臨床症状や検査値は著明に改善し,視野欠損も著しく縮小した.これらの事実から,側頭動脈炎の病因として,何らかの免疫異常が関連していると推定される.
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