Studies on Enamel Solubility and Acid Resistance by Laser

1993 
レーザー光を歯科に応用しようとしたのは, 齲蝕部分の除去や削合などであったが, 1965年にSognnaes, 1972年にSternらがルビーレーザーの照射で, また, 1974年に山本が, YAGレーザーの照射でもエナメル質に耐酸性を生ずるという報告をして以来, この方面の研究が多く見られるようになった。しかし, これらは臨床応用という面での研究の試みで, その耐酸性メカニズムの解明の研究は少ない。今回私たちは, レーザー照射によるエナメル質の齲蝕抑制効果を組織学的に解明するため, サイドウィッチ法を用いて, 偏光顕微鏡下で連続的に観察することによって, 非常に興味ある結果を得たので報告する。実験材料として, ヒト新鮮抜去歯上顎中切歯を使用した。実体顕微鏡下で, 破折, 亀裂白点, 石灰化不全などの見られない歯を選別した。この歯の表面に, CO2レーザーを15~20J/cm2で照射し, controlとしては同様に選別された無照射歯を使用した。薄切平行切片はスライドグラスおよびカバーグラス間に接着固定し, 作用液流出にはマイクロチューブポンプを使用し, 作用液0.1N酢酸緩衝液pH5.0を注入しながら同時に16mm自動微速度撮影装置を用いて記録観察を行った。実験結果: 今回私たちは, エナメル質表層にCO2レーザー照射を行い, 未照射との間で, 偏光顕微鏡を用いて連続的に観察を行った結果, 以下の所見を得た。1) CO2レーザー照射歯ではcontrolに比べて, 5~6倍程度の脱灰時間を要し, 明らかにエナメル質の耐酸性を認めた。2) Controlでは表層エナメル質の脱灰時における過程では, 黄色複屈折像と思われる強い脱灰層を認め, その黄色複屈折像より深部に沈着石灰化層と思われる一層を認めた。CO2レーザー照射エナメル質では, 黄色複屈折の出現が見られず, 表層エナメル質直下5~6μm前後で黒色の強い脱灰抵抗線を認め, 表層エナメル質の脱灰のみが進行するようである。3) 作用液の浸透の結果と思われる暗色部直下の赤色屈折層にっいては, 本実験ではその本質を明らかにすることはできなかった。
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