Electromyographic Studies on the Activity of the Antagonists of the Lower Limbs in Romberg's Position with Regard to Equilibrium Function in Normal Subjects and Patients with Disequilibrium

1983 
正常成人, 各種めまい・平衡失調症例 (頭頸部外傷例, 脊柱側彎症例, 中枢神経系又は未梢迷路障害によるめまい・平衡失調例) を対象とし, 両脚起立 (閉眼) を命じ, その際, 両脚の前脛骨筋 (屈筋), 腓腹筋 (伸筋) より表面誘導で筋放電を記録した. その結果, 次の成績を得た.(1) 筋放電を5型に分類し得た. 1型は筋放電を記録し得ないもの, II型は前脛骨筋にのみ放電を記録しうるもの, III型は腓腹筋にのみ放電を記録しうるもの, IV型は左右の前脛骨筋と腓腹筋に交叉性に放電を記録しうるもの, V型はすべての筋に放電をみるものである.(2) 正常成人ではすべてI型の放電を示した. めまい・平衡失調症例ではI型を示すものはきわめて少なく, その他の型の何れかに属する筋放電を示すことが多かった.(3) 平衡障害が軽度の場合はIII型が多発し, 腓腹筋活動が優位となる. 平衡障害が強くなると前脛骨筋活動が加わるようになる. そして, それが典型的になるとV型となる. したがって, 平衡障害の重篤度と下肢拮抗筋活動性の問には正相関があると考えてよい.II型は特異な放電型であり, その中に心因の関与するめまいがふくまれる可能性がある.(4) adrenaline 負荷平衡試験の成績と上記の下肢拮抗筋筋放電型の間にも一定の関係がある. 例えば, II型, III型ではこの平衡試験の成績が陰性であること多く, V型では陽性所見を示すことが多い. すなわち, これらの型の出現と中枢神経系の交感神経成分の活動性亢進の間にはある種の相関が推定される.(5) 重心動揺の大いさやその型と上記の下肢拮抗筋筋放電型の問にはかなり高い相関関係がみられる.以上の成績より, 両脚起立時 (閉眼) の下肢拮抗筋筋電図検査は, 平衡障害の程度やその推移の判定に役立つものと考案した. また, この検査はその他の検査 (adrenaline 負荷平衡試験, 重心動揺検査, 精神神経学的又は心理学的検査) と組合せると, めまいの病巣や, その性格の推定に関してもかなりの情報をあたえうる検査であるとのべた.
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