【専門医に求められる最新の知識:脳腫瘍】 脳放射線壊死の診断と治療の最新の知見―ベバシズマブによる治療効果

2013 
高線量放射線治療の恩恵により,悪性脳腫瘍の制御と生存期間の延長がある程度可能となりつつある.一方で,これら高線量放射線治療の適応により,症候性脳放射線壊死が問題となっている.そもそもなぜ放射線壊死が生じるのか,その浮腫の成因は何であるのかすら,よく理解されていなかった.われわれは多くの壊死巣除去術の経験から,脆弱な新生血管からの血漿成分の漏出が脳浮腫の原因であり,その新生血管の増生には壊死巣周囲での血管内皮増殖因子(VEGF)の過剰産生が関与していることを見出した.このVEGF をブロックする中和抗体であるベバシズマブを症候性脳放射線壊死の症例に投与すると画像上の浮腫の軽減と,症例によっては神経症状の改善を認めた.問題は診断をどのような方法でつけるかという点にある.われわれは組織診断ではなくアミノ酸トレーサによるPET による診断を優先している.本稿では診断も含めて,本治療法の今後の展望を紹介する.
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