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Precipitation Chemistry in Japan.

1997 
環境庁の全国規模の酸性雨調査結果などをもとにして,日本の降水のイオン組成,濃度,湿性沈着量を考察した.1989年4月から1993年3月までのデータから降水量加重平均イオン組成を算出すると,次の3種の成分からなると考えられた.1)海塩由来の,ナトリウム,塩化物,マグネシウムイオン,2)大気汚染物である二酸化硫黄,窒素酸化物から生成した硫酸と硝酸,3)アンモニアやカルシウム化合物のような塩基性物質.もともとの硫酸,硝酸の約70%が中和され,その結果pH4.76になり,各地点の値の範囲はpH4.5-5.8であった.硫酸,硝酸,アンモニアの濃度の指標である硫酸硝酸,アンモニウムの各イオンの年平均濃度と年間湿性沈着,およびその範囲(かっこ内)は,それぞれ,19.3(2.6-29.5),14.1(1.8-25.0),18.3(0.6-29.8)μmolL-11,26.6(4.7-49.8),19.4(3.1-40.8),25.9(1.1-55 .4)mmolm-2y-1であった.各イオンの濃度と沈着量の,全国平均値とその標準偏差を算出し,これらの量の空間分布は,全国的に一様であることが示唆された.主要イオンについて,日本海側と太平洋側における濃度と沈着量の季節変動が確認された.日本海側において非海塩性硫酸イオンの濃度と沈着量はともに冬季に増大した.硝酸,アンモニウム,非海塩性カルシウムなどのイオンも同様な季節変動があった.しかし,太平洋側はこのように明確な変動は見られなかった.これらの季節変動をY大陸からの長距離輸送の関係で考察した.また,もともとの硫酸,硝酸の濃度の和と,観測された水素イオン濃度を基本とした指標を用いて,降水のイオン組成を日本の降水化学と,欧州,北米のそれを比較した.欧州ではもともとの硫酸,硝酸の濃度が高く,中和の程度も小さいので,pHもこの三者の間で最も低い.北米はもともとの硫酸,硝酸の濃度は欧州よりも高い場合が多いが,中和の程度も比較的多いのでpHは欧州と同等であった.日本はpH,もともとの酸濃度ともに欧米の中間的な位置にあった.さらに,非海壌性硫酸イオンと硝酸イオンの濃度と沈着量嬉ついて,地球規模で論じた.
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