シェーグレン症候群及び口渇患者における塩酸セビメリン (エボザック®) の使用経験

2004 
2002年10月から2003年3月末までの1年6カ月間で当院皮膚科外来にて投与したシェーグレン症候群 (Sjs) とその疑い例及び口渇を伴う皮膚疾患患者合計137例を対象に塩酸セビメリン (エボザック®) を投与し, その治療効果を検討した。内訳は原発性Sjs 19, 二次性Sjs 12 (SSc7, SLE2, 皮膚筋炎2, RA1), Sjs疑い80及び非Sjs26例 (男27 : 女110) で, 平均年齢は61.4±13.5歳であった。各種自覚症状の改善は, 著効28, 有効37, やや有効58及び無効14例で, 有効以上の有効例は65例 (有効率47.4%) で, 唾液分泌増加が最多で55例, 夜間分泌増加は内15例 (27.3%) にみられた。その他, 口渇改善11, 涙の分泌増加3, 便秘の改善2, 腸内ガスの改善, 発声の改善や味覚改善, 舌の刺激感の改善及び食べやすさが各々1例にみられた。1日3カプセル (C) より投与開始し, 副作用出現時は随時半減する方法で, 最終的に6分の1Cまで減量したが, 内服困難例には100 ml水に1Cを溶解し, うがいをさせた。途中1日1~2Cより変更投与とし, 随時増量した。著効, 有効, やや有効及び無効例の投与期間は各々11.8±6.3, 12.6±5.6, 11.1±5.5及び5.4±6.4カ月で, 無効例とやや有効例以上では有意差があった。著効例ではSjs疑いや非Sjs例の口渇例が多く, 無効例では逆にSjs例が多くみられ, かつ抗SS-A/B抗体陽性率が高い傾向がみられた。随伴症状として, 寝汗が13例, 口渇3例, 多汗, 胸焼け, 放屁, 夜間の視力低下, 胃もたれ, 便秘及び頻尿が各々1例にみられた。副作用は胃部不快感10, 悪心・嘔吐7, 腹痛4, 下痢4, 胃腸障害3, 腹部膨満感, 食欲不振, 寝汗・冷や汗が各々2例, 発声困難, 頻尿, 咽頭痛, 睡眠障害, 顔面腫脹, 視力障害, 全身倦怠感及び皮膚カンジダ症悪化が各々1例にみられたが, 一過性で自然回復した。本剤はSjsや疑い例の口渇症状に対して唾液腺分泌亢進作用がある。副作用は延べ42件 (30.7%), 胃腸障害が最多であったが, 何れも一過性であったので, 日常診療では有効かつ有用と考えられる薬剤の一つといえよう。
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