腎臓内科医(透析医)の視点から

2021 
腎機能低下それ自体が末梢動脈疾患(PAD)の危険因子であり,慢性腎臓病(CKD)患者ではPAD 合併頻度が高い.CKD 患者ではサルコペニアも多く合併し,予後が不良となる.また,透析患者で動脈硬化は進展しやすい.その機序として,①糖尿病や高血圧症の合併,②尿毒症性物質の蓄積やカルシウム・リン代謝異常による血管石灰化,③透析独特の危険因子として,異物との接触で生じる血小板・単球の活性化などの微細炎症,血液粘稠度の上昇,透析患者独特の血圧変化,また血管内皮前駆細胞(EPC)数の減少などさまざまな因子の存在が考えられる.動脈硬化の進行は下肢動脈だけでなく,脳心血管系でも起こり,生命予後悪化につながる.PAD をできるだけ早期に診断し,禁煙,フットケア,抗血小板薬内服などの基本的治療を行うとともに,栄養や運動などにもチームで介入することが望ましい.透析患者に対しては透析時間や透析のモダリティー,透析膜の選定など,どのような透析を行っているのか,十分な溶質の除去(尿毒症性物質など)が行われているかの評価が重要である.
    • Correction
    • Source
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    0
    References
    0
    Citations
    NaN
    KQI
    []