CAR‒T 細胞によるがん免疫細胞療法の進展と将来展望

2016 
◎近年,キメラ抗原受容体(CAR)を遺伝子導入したCAR-T 細胞によるがん免疫療法の研究・開発が急速に進展している.CAR とは,腫瘍細胞の表面抗原を認識する一本鎖抗体とCD3ζ鎖や共刺激シグナルなどのT 細胞活性化を誘導する細胞内シグナル伝達部位を結合させたキメラ蛋白であり,がん患者の末梢血から強力ながん特異的傷害活性を有するT 細胞を大量に作製することを可能とした革新的技術である.CAR-T 細胞を利用したがん免疫療法では現在多くの臨床試験が実施されており,とくにB 細胞系血液腫瘍ではCD19 を標的としたCAR-T 細胞療法において優れた臨床効果が報告されている.しかし,CAR-T 細胞療法には有害事象であるサイトカイン放出症候群やon-target off-tumor toxicity など,多くの課題も存在している.また,固形がんにおいては高度な特異性を有する標的分子が同定されていないこと,がん組織への集積やがん微小環境での免疫抑制などの問題により,いまだ十分な治療効果は得られていない.本稿ではCAR-T 細胞療法の研究と開発の現状,課題や将来展望について概説する.
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