肝細胞癌に対するTranscatheter Arterial Embolization療法の臨床病理学的検討

1982 
手術不能肝細胞癌32例にTAE療法を施行し,臨床経過ならびに剖検組織より本療法の適応と限界に関し検討した.多発結節型肝細胞癌(6例)は臨床的に本療法の最適応と考えられ,最長603日現在生存中を含む6例中5例に生存を認め,6ヵ月生存率100%,1年生存率67%であった.一方,塊状型肝細胞癌(15例)は死因例の検討から,門脈本幹閉塞例4例中3例は肝不全に,非閉塞例11例中4例は癌再発による死亡例を経験した.その要因として前者は血流遮断による血行不全が考えられ,後者は早期に存在する門脈末梢枝内腫瘍浸潤に対する本療法の直接効果は軽度であり,一定の期間を経て門脈本幹への腫瘍浸潤ならびに肝内転移を引き起こすものと考えられた.細小肝細胞癌7例の検討では,6ヵ月生存率50%と,他の大型肝細胞癌に比して延命効果に乏しく,かかる原因として合併する高度肝硬変の程度がその予後を左右するものと考えられた.
    • Correction
    • Source
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    18
    References
    3
    Citations
    NaN
    KQI
    []