緩徐な進行を示した縦隔anaplastic large cell lymphomaの一例

2010 
症例は49歳女性.胸部CTにて左肺上葉のすりガラス陰影を指摘され,以後8年間定期的に経過観察中,2年前より緩徐に増大する前縦隔腫瘍を認めた.腫瘤は上行大動脈腹側に33×25×60mmで比較的均一な増強効果を示す腫瘤陰影として認め,MRIでは同部位にT1強調で中間信号,T2強調で低信号を呈し,Gd造影にて比較的よく染まる軟部腫瘤を認めた.表在リンパ節は触知せず,LDHおよび可溶性IL-2レセプターの上昇は認めなかった.画像上全身に他病変はなく,胸腺腫を疑い,胸骨正中切開にて腫瘤を含む胸腺摘除術を施行した.病理組織学的診断はanaplastic large cell lymphoma(ALCL;未分化大細胞型リンパ腫)であった.高悪性度群であるALK陰性ALCLであったが,病変は縦隔のみで,術前2年間無症状で緩徐に進行した稀な症例であり,放射線化学療法が施行され,現在まで術後6ヵ月無再発生存中である.
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