3.骨関連事象(SRE)への対応:積極的骨転移診療への3 ステップ

2021 
わが国の癌の年間罹患数が100 万人を超えるようになり,また分子標的治療薬の登場によりこれまで予後不良であった癌の生存期間が伸長していることで骨転移患者数は増加している.患者の多くは癌や骨転移と共存し,薬物治療を続け,経過によっては治験治療を受けながら,闘病生活を継続している人が多い.そのような患者に骨転移による病的骨折や麻痺が生じてしまった場合には,日常生活動作は極端に悪化し,またパフォーマンスステイタスの低下により薬物治療の継続に支障が生じる. 近年,骨転移の治療は集学化がすすんでおり,骨転移の患者には,化学療法,手術的治療,放射線療法のみならず,早期緩和ケア,早期リハビリテーション,精神的ケア,歯科医,看護師,栄養サポート,退院・転院・就労支援など多面的に多くの職種が携わっている.整形外科医は骨の専門家であることからその主要なメンバーであり,託されている役割は骨転移の診断,生検,手術,治療方針(装具,手術,放射線治療,骨修飾薬など)の提案,安静度,荷重制限,病的骨折・麻痺リスク評価,リハビリテーション前評価,装具作成指示,経過観察など多岐にわたる. しかし,整形外科医は骨転移診療の集学化にやや乗り遅れているようにもみえる.われわれは骨転移診療に対して2014 年から積極的な取り組みをはじめ他科からの紹介患者が約2 倍になった経験1)をもとに,骨転移診療を積極的対応に転換する際の留意点を3 ステップに分けて述べる.
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