自律神経失調症モデル (SARTストレス) マウスに対する加味帰脾湯の作用
1992
自律神経失調症モデルであるSART (反復寒冷) ストレスマウスに対する加味帰脾湯 (KMK) の効果を病覚過敏, 摘出腸管のACh反応性低下, 心機能異常および血液系異常の4項目について検討した.KMKは, ストレス負荷前日から負荷期間中, 0.5および1.0g/kg/dayの用量で連日8日間経口投与した.圧刺激による痛覚過敏症状に対してKMKは, 用量依存的に改善効果を示し, 1.Og/kg投与群では非ストレス群のレベルまで改善した.また, 同用量のKMKは, 摘出腸管のACh反応性低下をも有意に改善した.しかし, 非ストレス群にKMKを投与した場合, これらの指標は何ら影響を受けなかった.心機能および血液系の異常に関して, KMKの影響はみられなかった.以上の結果から, KMKは正常状態の動物に影響しない用量で自律神経系のバランスの崩れた状態にあるSARTストレスマウスの示す諸症状のうち痛覚過敏及び摘出腸管のACh反応性低下を改善することが明らかとなった.
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