Li2O-Al2O3-SiO2系セラミックス前駆体微粉末の合成と結晶化

1991 
金属アルコキシドを原料として,高純度で高均質なLi2O-Al2O3-SiO2(LAS)系セラミックス前駆体微粉末を合成することを試みた。この系では,原料アルコキシド間の加水分解速度の差がいちじるしく大きい。そこで,ケイ酸テトラエチルの部分加水分解法と複合アルコキシド法を併用することでアルコキシド問で均一共重合反応させて,高純度で高均質なLAS系セラミックス前駆体の合成を検討した。その結果,β-ユークリプタイト(Li2O・Al2O3・2SiO2:LA2S)およびβ-スポジューメン(Li2O・Al2O3・4SiO;LA4S)の化学量論組成とほぼ同じ組成の前駆体微粉末を合成することが可能であった。格子定数や組成の分析結果から,LA2S組成の前駆体微粉末は,700℃ 付近でLAS系の準安定未知相を析出した。そして,1000℃ 以上の温度でか焼すると,未知相を経てβ-ユークリプタイト単相となった。一方,LA4S組成の前駆体微粉末では,600℃ 付近でγ-スポジューメンが析出した。900℃ 付近からβ-スポジューメンへの転移が起こり始め,1200℃ 以上でか焼するとほぼβ-スポジューメン単相となった。これらの結果から,部分加水分解法と複合アルコキシド法を併用することが,高純度で高均質なLAS系セラミックス前駆体を合成する場合に,非常に有効であることがわかった。また,前駆体溶液を加水分解して前駆体微粉末とするとき,塩酸を添加することがか焼後の残留有機物の除去に有効であることがわかった。
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