Luria の Semantic Aphasia の一例

1987 
左の後頭頭頂側頭葉の梗塞により Luria の Semantic Aphasia と考えられる症状を示した症例を報告した.神経心理学的には観念運動失行,構成障害,構成失書,軽微な左右障害と文の理解障害が認められたが,語彙の減少や記銘力の障害はなかった.    理解障害を示した文は,同時空間統合能力を必要とする論理—文法構造をもつ文であった.本例は論理—文法構造を持つ文を解読する際,名詞の語順を手掛かりにしており,これは,文を構成する要素を同時的な相互関係に配置てきないため,また,文の直接的な印象を抑え,本質的な意味で理解することができないためと考えられた.このような障害は言語のみだけでなく,数字や時計や方角などの解読にも認められた.また,構成障害や左右障害などの空間機能の障害が改善しても,なおこれらの障害は認められたので,同時空間統合能力をより高次の symbolic level に転換できないために生じたと考えられた.
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