[Microangiopathic hemolytic anemia associated with disseminated mucin-forming adenocarcinoma of the stomach--an autopsy case (author's transl)].

1976 
細小血管障害性溶血性貧血は,末梢血に三角形や破片状等の奇形赤血球の出現を伴う溶血性貧血で,それぞれ基礎疾患に基づいて起こる共通の細小血管内病変が本症候群の主病因と考えられている.広範な転移を伴う胃癌に合併した本症の剖検例を経験したので報告する.患者は, 49才の男性で,入院前2ヵ月頃より貧血,タール様便,血便,腰痛,腹痛,体重減少,発熱などの症状があり,入院時,貧血,黄疸,出血傾向がみられ,また硬く腫大した左鎖骨上窩リンパ節を触知した.検査では,尿ウロビリノーゲン強陽性,便潜血強陽性,赤血球112×104/cmm,血色素3.2g/dl,網赤血球32%,血小板1.6×104/cmm,白血球27,850/cmmなどの検査所見とともに,末梢血中に奇形赤血球,赤芽球,幼若白血球がみとめられ,骨髄液中には腺癌由来と考えられた腫瘍細胞が証明された.血清総ビリルビン値2.3mg%, LDH100mU/ml,クームス試験陰性,硫酸プロタミン試験陽性,血清ハプトグロビン値0,フィブリノーゲン101.7mg/dl, FDP40μg/mlなど,溶血性貧血と血管内凝固促進の所見がみられた.患者は,輸血,ヘパリン治療も効果なく高度の貧血,消化管出血のため死亡した.剖検の結果, BorrmannIV型,ムチン産生傾向の強い胃腺癌が認められ,膝,骨髄,胸膜,腹膜,広範なリンパ節への転移がみられた.肺と心筋の小血管内フィブリン血栓形成がみられたが,腫瘍細胞栓塞の所見は証明されなかつた.その他,アルコール中毒に基因すると考えられる乙型肝硬変が証明された.本症候群の発現機序,ムチン産生胃腺癌ならびに肝硬変症との病西論的関係,治療上の問題点などについて検討した.
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