Studies on Primary Liver Carcinoma. III.
1976
肝細胞癌の肉眼形態は多彩であるが,それらが何らかの関係をもって臨床像に反映されるとの想定の下に,中島・奥田分類と臨床病理組織的特徴との関係を136剖検例について検索した.その結果,傾向としてびまん型は異型性が強く臨床型はfrank typeが多い.多結節型,結節塊状型は静脈内発育傾向が強くAFPも高値をとり易く,予後が最も悪い.それに反し被包型では腫瘍は異型度が低くしばしば胆汁産生性で,発育が遅く経過は長く,AFPは低値の事が多い.単塊状型,融合塊状型は非癌部の硬変性変化が軽いか無い場合も少くなく,肝機能は比較的良く,AFPは一般に高く,早期診断,切除の良い対象となる.高度に萎縮した肝硬変に起る小さい寡結節硬変型の腫瘍では,一般に分化した型のものが多く,臨床的に肝硬変症と区別し難く,生前診断は至難で,積極的癌治療の対象にならない,という事がわかった.治療と予後を論ずるには型を考慮する必要がある.
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