採皮創に対するキチン膜(創傷被覆保護材)の使用経験

1988 
全国22施設で実施された分層皮膚採皮後のdonor site 104例に対してキチン膜と対照にLPS(凍結乾燥豚皮)を主としたhalfside testを行い, 使用効果について検討した。LPSは67例で, 総合評価として10.4%がすぐれている, 26.9%がややすぐれている, 44.8%が同等であるとの成績を得た。またコラーゲンと比較した場合, 18.8%がすぐれている, 43.7%がややすぐれている, 37.5%が同等であるという良い結果を得た。止血, 鎮痛, 表皮形成が対照よりすぐれているという印象であり, 密着, 乾燥, 融解に関しては差を認めなかつた。ただし, 滲出液に関しては対照にくらべ治療の初期に多い傾向がみられた。治癒完了日はLPSにくらべ平均値の差は0.7日であり, 統計的に有意に早い傾向を示し, 創部が早期に治癒することを示唆した。また, 使用方法(交換, 重ねばりなど)によつて, キチン膜の効果がとくに異なるということはなかつた。創傷の深さと治療効果に関しては, とくに17/1,000インチ以下のような浅い傷に対して良い成績が得られた。創面の状態の観察を目的として頻回の包交を行つた症例においては結果が不良であり, キチン膜の使用にあたつては不要な包交を避けるとともにトレックスガーゼや木綿ガーゼを残し, 滲出液の多いときは外側のみかえるのがよいことが明らかとなつた。2∼3日目に湿潤状態となり, 感染と間違われることがあつた(感染でないことを確認)。この取り扱いが今後の課題であることがわかつた。また, 副作用は発現しなかつた。
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