Analyses of factors prolonging the length of hospital stay in elderly patients beginning hemodialysis

2000 
高齢の透析導入例における入院期間の規定因子を明らかにするために, 年齢60歳以上の慢性腎不全血液透析導入例 (98例) を対象として統計学的検討を行った. 男性例は59例, 女性例は39例, 年齢は73±7歳 (平均±標準偏差) であった. 個々の症例において, 腎不全の基礎疾患 (非糖尿病/糖尿病), 体格指数, 脳血管障害の有無, 虚血性心疾患の有無, 歩行の可否, 認知機能の良否, 透析導入の緊急度 (非緊急/緊急), アクセス不全発症の有無, 配偶者同居の有無, 子供世代同居の有無等の背景因子と透析導入後の入院日数について調査した.入院日数の中央値は37日であり, 平均値は49日であった. 入院日数そのものは正規分布を示さなかったが, 対数変換することにより, 正規分布を得ることができた. 統計学的検討においては, 対数変換された入院日数を用いた.各背景因子の相違が入院期間に及ぼす影響を最初に検討した. 背景因子毎に二通りのカテゴリーを設け, それに基づいて対象を二群に分けた. 両群で入院期間を算出し, それらの値をt検定により比較した. 統計学的有意差を認めた背景因子は8項目にのぼった. 次いで, 背景因子を説明変数とし, 入院期間を目的変数として, 重回帰分析を行った. 名義尺度で表された背景因子はダミー変数に置き換えられた. 重回帰分析では7項目の背景因子が統計学的に有意であった. 両分析で得られた項目は共通していたが, 性は二群比較でのみ, 統計学的に有意であった. その理由として, 性と配偶者同居の有無との相関が疑われた. アクセス不全発症と緊急透析導入が入院期間を延長させる決定的な要因であった. また, 虚血性心疾患合併, 糖尿病, 歩行不可, 認知機能不良, および配偶者不在も入院期間長期化の要因としてあげられた. 歩行の可否, 認知機能の良否, さらに配偶者の有無も規定因子となったことが高齢者の特徴と考えられた.
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