TiC-Cr3C2系固溶体及びTiC-Cr3C2-(Ni, Co) 系サーメットの耐酸化性に関する研究

1958 
TiC-Cr3C2系サーメットの800°-1093℃の温度範囲における酸化速度についてArrheniusの式を基礎として活性化エネルギー及び定数Aを求めた. また生成酸化物の断面を鏡検し生成酸化物層内における原子の拡散について論及しTiC-Cr3C2系サーメットの耐酸化性向上の方法の一端を得た. 本研究の結果を要約すれば次のようである.1) TicにCr3C2を添加し焼結すれば金属を加えなくてもかなり低温度で気孔率の小さい焼結体を得ることが出来る. しかしながら常温における曲ゲ強サは金属添加の焼結体にくらべてかなり低い.2) TiCとCr3C2の混溶度は1650℃で大体等重量比である.3) TiC-Cr3C2焼結体の900°-1093℃における酸化曲線は放物線則にしたがい, 酸化速度定数kを求めた. Arrheniusの式の活性化エネルギーEはTiC:Cr3C2=50:50 (重量) 付近で不連続的に減少する.4) TiC-Cr3C2-(Ni, Co) 焼結体の曲ゲ強サ及び硬度を測定し, TiC及びCr3C2量の増加とともに硬度が増加すること, 及びCo結合の方がNi結合のものより硬度が高いことが認められ, 曲ゲ強サはいずれも金属量の増す程大きい値を示している.5) TiC-Cr3C2-Ni焼結体の800℃における酸化は放物線則にしたがわない. 酸化の初期では放物線であるが1-2時間後ではいずれの試料も直線的重量増加を示した. 900℃以上の温度で酸化した場合は放物線則にしたがう. TiO2層内の陰イオン拡散により炭化物粒子が選択的に酸化されていることを顕微鏡で確認した. X線分析の結果生成酸化物層の外側はTiO2及びCoOで鏡検によりCr2O3の粉末状生成物を認めた. スケール剥離はこのCr2O3層から生ずる.終りに本研究は昭和28年度機関研究費により行われたものであり, また原料を支給された日本タンガロイKK及び本学河嶋研究室に深く感謝する次第である.
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