Complications and Prognosis in Patients with Colorectal Cancer Aged 75 Years and Over

1983年1月から1992年12月末までの10年間に教室で経験した大腸癌1,355例のうち75歳以上の高齢者大腸癌174例を対象に,75歳未満の対照群1181例と比較して合併症および予後を中心に検討した.高齢者大腸癌は術前の進行度は差を認めなかったが,術前併存症は有意に多かった.術後合併症も高齢群に有意に多く,術後肺炎を含む呼吸器系の合併症が最も多かった.在院死亡原因の80%以上が術後肺炎であり,周術期管理に対しては術後肺炎の予防と治療が最も重要であると思われた.リンパ節郭清程度は有意にR1郭清が多くR3郭清が少なく,直腸癌に対しての選択術式は高齢群は有意にARが少なくHartmann手術が多く,侵襲が少ない手術が選択されていたが,切除率,治癒切除率,非切除率に差は認めなかった.また他病死が多い傾向を認めるが,原癌死の5年生存率は対照群と差はなく,高齢者大腸癌に対する外科治療は満足できる成績が得られていると考えられた.