老年者の交感神経節に出現する Lewy 小体の形態学的検討

1988 
老年者の交感神経節に生じる Lewy 小体の出現頻度を調べると共に, 電顕的所見を中心とした形態学的検索を行った. 対象はパーキンソン病1例を含む314剖検例の上頸, 星状及び腹腔神経節である. Lewy 小体は41例で3神経節のうち何れかの神経節に認められた. その出現例は60歳のパーキンソン病像を除けば全例70歳以上であった. 出現頻度は70歳台14%, 80歳台15%, 90歳以上12%と, 70歳以上ではほぼ一定の頻度でみられた.光顕的には神経突起内に生じた楕円形或は棍棒状を呈する Lewy 小体が主体をしめ, 神経細胞胞体内のものは少数であった. また, core と halo の層構造を呈するもの以外に一様に弱酸性に染まるものが多く観察され, 両者は互いに移行していた. その他に円形ないし楕円形で強酸性に染まる Lewy 小体も観察された.電顕的には Lewy 小体の halo 部分は線維状構造物と小顆粒状構造物からなり, core ではこれらが塊状に集積したと思われる高電子密度顆粒からなっており, その中心では均一無構造を呈した. 一様に弱酸性を呈した Lewy 小体の構成成分は上記 halo 部分とほぼ同様で, 中心ほどそれらが密になる傾向があった. 全体に強酸性に染まる Lewy 小体は core と同様な高電子密度顆粒からなっていた.以上の所見から次のような結論を得た1) 交感神経節ではパーキンソン病がなくても, 70歳以上の老年者においては約15%の割合で Lewy 小体が出現する. 2) 交感神経節の Lewy 小体は主に神経突起内に出現し, そのために楕円形や棍棒状を呈するものが多い. 3) 従来 Lewy body related swelling (Forno) と言われていたものは Lewy 小体に他ならない. 4) 電顕的には Lewy 小体は基本的に線維状構造物と小顆粒状構造物からなり, これらが集積沈着し高電子密度の core を形成する生成過程が推測された.
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