A Case of Double Cancers in the Rectum and Anal Fistula.

1992 
痔瘻癌は比較的まれな疾患である. われわれは直腸と痔瘻部の重複癌と思われる1例を経験した. 症例は59歳の男性で, 5年前から外痔瘻の既往があったが, 放置していた. 排便時に出血を認めるようになり来院した. 直腸癌 (Ra, ほぼ全周性, 浸潤潰瘍型) に対し低位前方切除術を施行し, 術後4週目に外痔瘻に対して根治術を行った. この時の痔瘻摘出標本のなかに高分化腺癌病巣が発見され慎重に経過観察していたが, 肛門部に硬結・疼痛が認められるようになったため, 再発を疑って低位前方切除術施行の3か月後に直腸切断術を実施した. 病理組織学的所見より直腸と痔瘻部の重複癌と考えられた. 痔瘻部の癌は直径3mmの微小癌であり, 痔瘻癌の早期・微小の概念および治療方針については, 今後さらに検討を重ねる必要がある. 硬結や粘調性浸出液の排出がみられる痔瘻に対しては積極的に精査し, 病理組織学的検討を加えるべきであると思われた.
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