四塩化炭素肝障害における伊東細胞(Fat-storing cell)の動態と肝線維化との関連

1985 
伊東細胞(fat-storing cell, FSC)は肝小葉内の線維形成を担当する細胞として注目されている.FSCの胞体にdesminが特異的に存在することから,抗desmin抗体を用いた免疫染色法にようFSCは容易に同定され,肝障害においてもその変動を詳細に観察することが出来る.今回われわれはラットに四塩化炭素(CCl4)を投与し,その経過におけるFSCと線維形成との関連を検討した.急性CCl4肝障害では,壊死部のFSCは胞体が腫大し,線維化に先だって増加し,線維化が進展すると数の減少と胞体の縮小がみられた.慢性CCl4肝障害のFSCは,初期には急性CCl4肝障害と岡一の動態を呈したが,経過にしたがってその細胞突起は伸展し,隣接細胞の突起と結合し,線維と同一の方向性を示した.線維束が完成されるとその内部にFSCはほとんどみられなくなった.これらの所見はFSCが肝線維化に密接な関連性のあることを示し,線維形成担当細胞である可能性が強く示唆された.
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