Psychological study of chronic hemodialysis patients using the MMPI

1998 
はじめに: 飲水の制限は, 透析の予後を左右する循環器系の合併症を予防する上で重要である. しかし, 透析を受けている患者の中には, この飲水制限が不良である者が少なくない. そこで, 透析患者における飲水制限とパーソナリティ上の関係について, MMPI (Minnesota Multiphasic Personality Inventory) を用いて調査した.対象と方法: 清湘会のクリニックにおいて慢性維持血液透析を受けている患者約398人のうち, 中-日の体重増加がdry weightの5%以上ある51名 (男性: 34名, 女性: 17名) を体重管理の不良な例 (不良群) とし, 中-日の体重増加がdry weightの3%以下の33名 (男性: 16名, 女性: 17名) を良好な例 (良好群) とした.これらの透析患者にMMPI (原法の新日本語版, 三京房, 京都) を施行し, 不良, 良好の2群の間で各尺度の平均値について男女別に集計を行い, 比較を行った. MMPIの日本での標準化に際して対象とした健常成人1,022名 (男性: 500名, 女性: 522名) との間でも比較を行った.結果: 不良群は良好群に比し, 不安, 身体的愁訴に関係する尺度 (Hs, D, Hy, Pdなど) で高い値をとる傾向が認められたが, 有意な差はなかった. 正常成人に比べると, 不良群, 良好群ともにL, Hs, D, Hy, Esの尺度で有意に高値を示した.考察: 今回示された不良群, 良好群にともに認められたHs, D, Hyの高値は, 透析患者の抑鬱状況と身体的拘りを示唆する. この3つの尺度の上昇はneurotic triadと呼ばれ, 透析患者の神経症的状態を示すものと考えられる. 有意差は認められなかったが, 不良群ではこれらの尺度の得点が良好群より高く, 神経症的傾向が強いようであった.追加尺度のEsの低値は自我の脆弱性に通じるもので, 透析を受ける患者の精神的脆さを示しているといえよう.
    • Correction
    • Source
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    17
    References
    0
    Citations
    NaN
    KQI
    []