孤発性ALSの動物モデル―TDP-43の立場から

2010 
核蛋白の TAR DNA binding protein 43 kDa(TDP-43)は,筋萎縮性側索硬化症(ALS)の運動ニューロンやグリア細胞において,細胞質内に封入体として蓄積するとともに核での明確な発現低下を伴うことが特徴である.このことより,TDP-43 蓄積による gain of toxic function と,核からの逸脱に伴う機能低下による lossof function の両者が,神経変性の病態にかかわっている可能性が推定される.このような背景の下,TDP-43 の過剰発現モデルとノックアウト/ノックダウンモデルがあいついで作成されている.TDP-43 の過剰発現モデルのなかには,運動機能障害を呈し ALS に類似した病理学的変化を認めるものも報告されている.一方,TDP-43 のノックアウトやノックダウンモデルにおいても運動機能障害を呈することが報告されている.孤発性ALS の病態を反映したこれらの動物モデルの病態を詳細に解析することによって,孤発性 ALS の病態解明や分子標的治療などの画期的治療法の開発が期待される.
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