The Catalyzed Oxidation of Isopropyl Alcohol in Liquid Phase by Oxygen

1964 
本研究はイソプロピルアルコール(IPA)の液相酸化における重金属イオンの触媒機能を解明する目的で行なった。反応は温度70~80℃,全圧1atmの下で行ない,酸素吸収量の測定と生成物の分析を行なった。まず各種の金属塩の本反応に対する触媒活性を調べ,コバルト塩-リン酸系およびクロム塩-リン酸系のみが有効であることを見いだした。つぎに,コバルト塩-リン酸系触媒を用いて反応速度と生成物の収率に及ぼす触媒濃度,IPA濃度,酸素圧,水,温度の影響を調べ,つぎの結果を得た。1.初期反応速度はリン酸とコバルト塩のモル濃度比(R)が1付近で最大になり,Rが10-2あるいは103のときには反応は起こらない。しかし,反応速度は一般に時間と共に減少し,定常速度はR=10~102のときに最大となる。2.反応速度は酸素圧が高いとき(コバルト塩濃度)1/2・(IPA濃度)2に比例する。3.過酸化水素の収率はRが大きいほど,またコバルト塩濃度が小さいほど高くなり,吸収酸素量の80~90%となる。4.水は反応速度を著しく減少させる。これらの結果に基づいて反応機構を検討し,触媒の活性成分はコバルトイオンとリン酸イオンからなるある種の錯イオンであって,リン酸の作用は錯イオンの形成にあるという結論に達した。また,分光学的測定により,水による反応速度の減少は水分子がコバルトイオンに強く配位するためであると推定した。
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