緩和ケア教育を考える ~学生のこころを育てる講義の工夫~ 【4】:学生をひきつける講義の工夫③ 事例の効果的な使い方

2016 
世界保健機関による緩和ケアの定義は,「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して,痛みやその他の身体的問題,心理社会的問題,スピリチュアルな問題を早期に発見し,的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって,苦しみを予防し,和らげることで,クオリティ・オブ・ライフを改善するアプローチ」1)である.この緩和ケアを卒前教育で学習することは,たいへんむずかしい.なぜなら,看護学的・医学的知識の理解はもちろんのこと,人間の生や死にまつわる既習の基礎・専門基礎科目の知識や,若い人生経験を多様に統合しながら,“わたし”ではない“あなた”のクオリティ・オブ・ライフを改善する看護を考えなければならないからである. そのため筆者は,基礎教育において緩和ケアを教授しようとするとき,学習者がイメージしやすい,アセスメントの視点を増やす,既習の知識を想起し統合する,多様な価値に気づく,いのちについて深く考える機会となる,不安な気持ちのまま終わらないように留意している.そこで重要となるのが,事例教材の効果的な使い方である. 本稿では,本学の講義の実際を一部紹介しつつ,緩和ケアの卒前教育における事例の効果的な使い方について検討する.
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