2.肝手術と門脈圧亢進症:1) 門脈圧亢進症を伴う肝細胞癌に対する術前処置の適応と切除後の予後

2019 
肝細胞癌患者は背景肝に障害を伴うことが多く,肝障害が進行した結果,門脈圧亢進症を呈することも少なくない.欧米のガイドラインでは門脈圧亢進症の存在を肝切除の適応外としているが,本邦では肝予備能が保たれていれば,血小板減少症や破裂の危険のある胃・食道静脈瘤に対し,術前の処置を行った後に肝切除を行うことがある.筆者らの施設で門脈圧亢進症に対する処置を行った後に肝切除を行った患者123 例の5 年生存率は53.1%,生存期間の中央値6.3 年,Clavien-Dindo 分類Grade2 以上の合併症発症率27.7%,周術期死亡0.8%であった.門脈圧亢進症の存在は進行した肝硬変を示唆し,門脈圧亢進症に対する処置自体のリスクもあるため治療適応の決定慎重であるべきであるが,予後は十分許容範囲内であり,肝切除治療も検討の余地がある.
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