中・下咽頭表在性病変の通常・NBI拡大内視鏡像

2010 
背景と目的:Narrow band imaging(NBI)の臨床応用により,中・下咽頭癌の早期発見例は増加しているが,dysplasiaも含めた表在性中・下咽頭腫瘍の内視鏡像については不明な点が少なくない。本研究では,中・下咽頭の表在性腫瘍の通常・NBI内視鏡像を明らかにし,NBI拡大内視鏡の臨床的意義を検討したい。対象と方法:中・下咽頭の表在性病変148例203病変の内視鏡像をprospectiveに評価し,それらの組織像と対比検討した。組織学的診断は新ウィーン分類に基づいてなされた。結果:組織学的所見によって203病変はnon-neoplastic lesion(non-NL)111病変(全てCategory 1:正常,炎症など)とneoplastic lesion(NL)92病変(Category 3または4)に分別された。NL群はnon-NL群に比し,通常所見“発赤調”,“平坦・陥凹型”,非拡大NBI所見“brownish area”を呈する頻度が有意に高く,拡大NBIでは微小血管の“増生”,“拡張”,“不整”を示す頻度が有意に高かった。多変量解析の結果,“平坦・陥凹型”,“不整”所見のみが有意に高い頻度でNL群に認められた。NL群のCategory 3(n=38)とCategory 4(n=54)の比較では,通常・非拡大NBI所見において有意差はなかった。拡大NBI所見である“微小血管間褐色調変化”と“不整”はCategory 4に認められる頻度が有意に高く,多変量解析では“不整”のみ有意差を認めた。結論:NBI拡大内視鏡はNL病変に対する通常内視鏡診断を補完し,Category 4病変では通常内視鏡の診断精度を向上させる可能性が示唆された。
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