コルポスコピー不適例におけるサイトブラシ(Cytobrush)細胞診の有効性に関する検討
1986
子宮頸管内細胞採取器具としてStormbyの開発したサイトブラシを使用し, その有用性にっき検討した.対象はコルポスコピー不適例100例で, 酢酸加工コルポスコピー実施後にサイトブラシで頸管内より細胞を採取し, 実施前に綿棒で腟部, 頸管より採取したものと, 細胞診標本につき比較検討した.サイトブラシ採取標本では, 変性, 乾燥などにより診断が不能であった例はなく, 極端に細胞数が少ない, 核濃縮などの酢酸加工の影響も認められなかった.さらに, 細胞重積性は認めない, あるいは認めても軽度のものが97.0%で, 赤血球出現も認めない, あるいは認めても一部であったものが90.0%で, 細胞診標本としてすぐれていた.変性のない円柱上皮は綿棒標本で27.8%に, サイトブラシ標本では93.4%に認め, サイトブラシは, より確実に扁平円柱境界を含む領域より細胞採取が可能であった.さらに, 細胞診診断の結果では, 同一例で綿棒標本は陰性で, サイトブラシ標本では異形成上皮であったものが5例あり, サイトブラシ採取により綿棒採取時のsamplingerrorを防止したと考えられ, サイトブラシは頸管内採取器具として有用と結論した.
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