S状結腸mucosa associated lymphoid tissueリンパ腫の1例

1993 
大腸原発, 特にS状結腸原発の悪性リンパ腫はまれである.また, mucosa associated lymphoidtissue (MALT) リンパ腫の概念は病理学者の間で同意が得られておらず, これまでにS状結腸原発のMALTリンパ腫の報告例はない.今回われわれが経験したS状結腸原発MALTリンパ腫の1症例を報告する.症例は54歳男性で, 発熱を主訴として受診し, 前立腺炎, クローン病の診断のもとに加療するも軽快せず, 注腸検査でS状結腸にskipする粘膜粗槌な病変を2か所に認め, 内視鏡所見が陥凹性病変から隆起性病変に変化してきたため悪性リンパ腫を疑って手術を施行した.病理組織検査の結果MALTリンパ腫と診断された.リンパ腫と炎症性腸炎疾患との鑑別診断に注意深い経過観察が重要と考えられた.
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