[Relevant factors concerning phenomena related to the process of initiating dialysis in elderly patients with chronic renal failure: predicting the outcomes of subsequent phenomena at the stage of the initial phenomenon].
2008
目的:私共は高齢の慢性腎不全症例を対象として,透析導入過程の諸事象の規定要因を事象毎に検討してきた.規定要因としてあげられた背景因子は,新たな症例が個々の事象に臨んで,その事象の帰結を予知する上では意義があった.しかし,初期事象の段階で後続事象の帰結を見通す上では,その意義が不明確であった.その理由は,透析導入過程の進行に伴って,諸事象の対象は症例数を減じ,かつ性状の変化(以下,対象の変容)を被っていたからだった.ここでは,初期事象の段階で後続事象の帰結を見通すための規定要因を明らかにしたいと考えた.そのための方法として,「透析導入過程が進行しても,対象はほとんど失われず,その変容も軽度であったならば」という仮定を持ち込んでみた.方法:年齢60歳以上の高度慢性腎不全例(152例)を対象とした.全例で背景因子の調査を行った.検討事象は,透析導入の是非,透析導入の緊急度,病状軽快の可否,および家庭復帰の可否とした.新たな規定要因を求めるために,事象毎のロジスティック回帰分析の際,各背景因子が絞り込まれていく順序と状況に着目した.どの事象で,どの背景因子に着目するかは,背景因子の変容に基づいて決められた.結果:透析導入の緊急度と病状軽快の可否では,年齢と認知機能の良否が着目された.家庭復帰の可否では,年齢,歩行の可否,および認知機能の良否が着目された.病状軽快の可否のロジスティック回帰分析において,年齢は最終段階で絞り込まれていた.また,家庭復帰の可否の回帰分析において,年齢は最終の前段階で絞り込まれていた.結語:病状軽快の可否と家庭復帰の可否における年齢の係わりを検証するために,透析導入過程において失われた症例を対象に復活させるシミュレーションを行った.病状軽快の可否では年齢の係わりの増加がみられたが,家庭復帰の可否では年齢の係わりの増加は明瞭でなかった.病状軽快の可否において,年齢は新たな規定要因となった.また,事象毎の検討による規定要因のすべても,初期事象の段階で後続事象の帰結を見通すための規定要因となった.
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