輸血を契機にposterior reversible encephalopathy syndrome (PRES) が惹起されたと考えられた血栓性血小板減少性紫斑病-溶血性尿毒症症候群 (TTP/HUS) の1例

2007 
症例 : 38歳, 女性. 汎血球減少症と慢性腎不全で当院外来通院中, 発熱と頸部リンパ節腫脹を主訴に来院し, 汎血球減少と腎機能障害進行のため精査加療目的で入院となった. 頸部リンパ節炎に対して抗生剤治療で炎症所見は改善したが, 血液検査にて血小板の低下, ヘマトクリットの減少ならびに破砕赤血球の出現および, ハプトグロビン値の著減を認めた. 血清生化学では腎機能障害の進展, LDHの上昇, 肝胆道系酵素の上昇を認めた. 血栓性血小板減少性紫斑病-溶血性尿毒症症候群 (TTP/HUS) が疑われ, 速やかに血漿交換療法とステロイド治療を開始した. その後, 溶血による著明な貧血の改善のため濃厚赤血球輸血を行ったところ, 同時期より治療抵抗性高血圧も合併し, てんかん発作が出現した. 経時的にTTPの臨床的5徴を認めた. 脳波異常に加えて可逆的な臨床症状と頭部MRI所見よりposterior reversible encephalopathy syndrome (PRES) の合併と診断した. 薬物療法, 透析療法を行う一方で, TTP/HUSの寛解が得られるまで29回の血漿交換を必要とした. 頸部リンパ節炎を契機にTTP/HUSを発症し, 輸血を契機に重症高血圧ならびにPRESを合併した慢性腎不全患者の1例を報告した.
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