Mechanism and Prevention of Coloring of Coal Tar Acid.

1993 
石炭系タール酸の経時着色の原因と着色機構およびその防止方法について検討した。このことは石炭液化の油や,石炭のガス化から副生する油のタール酸の有効利用の観点からも重要である。タール酸を精留すると,その着色域とアニリン,メチルアニリンの留出域が一致すること,タール酸にアニリンを添加すると著しく着色すること,などからアニリン化合物が着色の原因物質であることがわかった。経時着色を防止するにはアニリン化合物を除去する必要がある。除去方法として添加物による固定を検討したところ,隣接した2個のカルボキシル基を持つ化合物,たとえば無水フタル酸,1,2,4-ベンゼントリカルボン酸,1,8-ナフタレンジカルボン酸などが有効であった。これらを蒸留工程に少量添加すると,アニリン化合物は高沸点のイミド化合物に転化し,蒸留残留物としてほぼ完全に除去できることがわかった。R(COOH)2+Ar-NH2→R(CO)2N-Ar+2H2O粗タール酸に無水フタル酸を添加して蒸留したところ,得られたタール酸中のアニリン濃度は1mg/kg以下となり,経時着色は著しく抑制された。このことから本法は経時着色の少ない,高品質のタール酸製造方法として有用である。
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