チタン修飾USYゼオライトを用いた残油水素化分解触媒の開発(第2報)固定床反応器用触媒の開発

2004 
残油直接脱硫工業装置に適用可能な水素化分解触媒の開発を目的として,第1報で報告したモリブデン担持チタン修飾USYゼオライト(MTZ)をベースとするニッケルモリブデン担持成型触媒の準工業的製造法とその触媒活性について検討した。 まず,スケールアップが可能な条件で調製したMTZが第1報と同様の物性および触媒特性を有することを確認した後,アルミナバインダーを用いて成型し,ニッケル(4 wt%,NiO換算),モリブデン(16 wt%,MoO3換算)をincipient wetness法により含浸担持した。成型した水素化分解触媒(NiMo/MTZ)の性能を,アラビアンライトまたはクウェート原油の常圧残油を原料とし,固定床流通系のベンチ反応装置を用いて評価した結果,800時間以上にわたり安定した活性が得られた。また,NiMo/MTZは,市販のUSYゼオライトをベースとする水素化分解触媒(NiMo/USY1)と比べて,高い中間留分選択性を示した。この中間留分選択性の向上は,チタン修飾によるメソポア増大と固体酸性質制御による過分解抑制のためと考察された。さらに,NiMo/MTZはNiMo/USY1あるいは硫酸処理によってメソポア増大と固体酸性質制御を行ったゼオライトをベースとする水素化分解触媒(NiMo/AZ)と比べて,残油留分の水素化分解活性の点でも優れた性能を示した。この優れた水素化分解活性は,ゼオライトの酸点とゼオライト内に導入されたチタニア上の二硫化モリブデンの水素化活性との協奏作用により分解活性点近傍でのコーク生成が抑制され,定常活性に至るまでの触媒劣化が抑制されたためと推察された。
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