血液透析施行時のshort chain fatty acid (acetic acid) およびlong chain fatty acidの代謝に与えるL-carnitine投与の影響

1987 
16人のアセテート透析を受けている慢性腎不全患者に1日あたり1,200mgのL-carnitineを12週間投与し, L-carnitineが血液透析中の遊離脂肪酸およびアセテート代謝に与える影響を調べた.血液透析開始後の血漿中性脂肪濃度は血液透析開始前の値よりも有意に低く, その低下程度はL-carnitine chloride投与の影響を受けなかった. また, 透析開始後の血漿遊離脂肪酸濃度は透析開始前の値よりも有意に高く, その上昇程度はL-carnitine chloride投与開始後, 有意に小さくなった. これはヘパリンによるlipoprotein lypase活性の増大に伴って脂肪酸が大量に出現し, L-carnitine chlorideの投与後はこの脂肪酸の酸化が促進されたためと考えられる.投薬開始後, 外来性アセテートの生体内クリアランスが投薬開始前に比べて有意に増大し, これに伴って透析施行中の血漿アセテート濃度も低くなった. これはL-carnitine chloride投与に伴って, cytosolにおけるacyl-CoAの蓄積量が減少し, TCAサイクルの活性が増大したことによるのだろう.
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